粘度の高い小部屋にて

記録や感想など

∀ガンダム 直前スペシャル

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富野総監督部分抜粋です。

ナレーター 最初のガンダムがつくられた頃とは正反対の世情の中で、全てを肯定し、尚且つ新しい物語を語ろうとしているという。その真意を訊いた。

 

―20周年

富野 僕自身は「20周年記念事業の一環」とか、それから特に今言われているその「世紀末」という風なことは基本的に考えませんでした。近代の主張、それから哲学的なものの考え方もそうなんですけれども、やはりその強力な一本線のロジカルっていうものを採用し過ぎた。で、現にそれを今、各方面で反省が始まっています。ものを作るっていうのは本来、全部その新生のものであるはずなんです。だからその新生のものを作るということは、こういう風に巡っていくことであって、そのロジカルに積み上げていくことではないんだな、ということを既に教えられました。ですから、そういう意味でとても意義がある作品に、自分の中ではなってきたと思っています。

 

―富野総監督

安田 (富野)監督っていうのは常に本気で全てを創ろうという感じで、どっかの真似をしてパクるっていうんじゃなくって、本気でものを作っている感じなんで、そういう人と一緒にやってたら、僕も何かものを作れるんじゃないかなと思って、新たなるステップって言ったら恥ずかしいんですけれども。

 

―デザイン 対比

富野 安田キャラクターが画面上とか物語上の底支えをしてくれるならば、一番、言ってしまえば相反するデザイナーであるべきだっていうことがありまして、シド・ミードさんにお願いした。人とつまり機械、人と道具、人とメカっていう対比をピッチシ出せる、そういう風な構図にするためにほとんど「シド・ミードさんでなければならない」とまで思いました。

 

―総監督からの注文は?

ミード トミノさんからの注文はまずデザインの作業に入る前に、ガンダムの歴史や世界観をしっかり把握してほしいというものでした。それをふまえて、かつ新しいデザインを創り出すのが、私の仕事だった訳です。

 

―メッセージ

富野 昔の作品を知っていて、その思い出を持ってらっしゃる方っていうのは例えば宇宙世紀のこととかニュータイプがどうなったかっていうことを気になさるかもしれません。ところが、そういうファンの方も20年っていう時間を実は暮らしてきたんです。で、暮らしてきて、ああ、フィクションのものである、だけどもニュータイプ論ってのは有るかもしれないって自分でも思ったり、それからその物語の行く先を見ていきたいと思っていた。その回答が、今回「∀の世界」なんじゃないんですか。つまり我々は一本調子の進化論では絶対対応できるようなマシーンではなかった。我々はやっぱり人だったんだ。ですから、その回答を全部「∀」っていう言葉の中に包含されているという風に僕は思っています。

 

∀ガンダム

富野 人と道具という共生論を、モビルスーツを創り出した時から考えていましたけれども、もうそれも終わって、もう一度、つまり人の物語に戻っていいんじゃないのかな。で、そういう巡り合わせにまさに出会えた、っていう意味では僕にとっては今、こんなことをこれまで面映ゆくって言えなかったことなんです。つまりアニメの世界を創っていくことをやりながら自分が生きているなんていうようなことは、まして60近くなった男が言うのは恥ずかしい話です。が、今回は∀の中で生きているかもしれないっていう自分ってとっても幸せだなって思ってますからこれは若い人が観ても面白いと思っていただけるんじゃないのかなって思っています。

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