カサレリア。Vガンダムも家族論だった。
前回の記事を書きながら、カテジナとカルルマンの関係に思いを馳せていた。
カテジナとカルルマンは疑似的に親子だったと気づいた。
こじつけるなら、ウーイッグの空襲で建物の倒壊に巻き込まれた後、地下鉄跡を抜けてきたというのは誕生の比喩だ。
リガ・ミリティアに合流したカテジナはカルルをシャクティに渡す。不法居住者が嫌いだとしてもいきなりベビーシッター扱いだ。
そして、伯爵の拉致に巻き込まれることをきっかけにクロノクルと行動を共にするようになる。9話「旅立ち」ではカテジナは置手紙を残していく。ついにカテジナの旅立ちだ。
その後の14話「ジブラルタル攻防」ではザンスカールのスパイをするという体をとりつつクロノクルと同行している。
こうしてカテジナは子を捨て、リガ・ミリティアからザンスカールに鞍替えをしていく。カテジナは自分の両親の業をなぞっていく。
ウッソとシャクティもまた、親の業に囚われる。
Vガンダムはウッソ、シャクティ、カテジナの3人が親の業を辿っていく物語であろう。
51話「天使たちの昇天」では 戦争孤児であるオデロを手に掛け、その報いかクロノクルを喪ってしまう。
戦いの後、傷つき視力を失ったカテジナは、ポイント・カサレリアに辿り着く。ウッソがゴッドワルドを助けたように、旅人や困った人には分け与えるのがカサレリアの流儀だ。
カテジナがウーイッグへ向かうために必要なオートコンパスをシャクティが取りに行くわずかな時間で、カテジナはカルルと言葉を交わす。
カルル「こんにちは」
カテジナ「こんにちは。お名前なんていうんですか」
カルル「カルル」
カテジナ「カルル、良い名前だ」
カルル「カルルマン」
カテジナは呆然とする。かつて、自分が読み上げた名前を思い出したのだろう。あるいは、カラーンアン(Kalahngan / ありがとう)と聞こえたか。自分が捨てた子と再会したのだ。
しばしの沈黙の中、フランダースは画面の右から左へ移動している。警戒を解いたという意味だろう。
そして、カサレリアは「さようなら」でもある。
カルルの産みの親であるカテジナはワッパに乗り、育ての親であるシャクティの前を通り過ぎる。ポイント・カサレリアとの別れだ。
復興したウーイッグでカテジナは両親に会えるだろうか。二人の墓標があるのみか。
いずれにしても、帰ってきたウーイッグからカテジナの人生が始まるのである。